Forming

 



 

 

不思議なもんじゃ。

宇宙船だと酷く酔うが、水に浮かぶ船では平気じゃのう

 

 

そういいながら浴衣姿の坂本はまるで水を飲むように

冷酒を煽る。

付きだしをつまむのもそこそこ、今日の様な熱帯夜には

最高の冷却材だ。

 



 

夕涼み、と称して河上は屋形船に誘われた。

乗りこんで揺れる船内が落ち着く間もなくほい、と浴衣を渡された。

リラックスリラックス!

と、胡散臭く親指を付きたてられた。



手渡された浴衣はなかなか肌触りが良く頂ける物なら頂きたいものだ、

とぼんやり思った。うまく言えば坂本は快く譲ってくれるだろう。 

そんなことを考えながら一方的にペラペラと話す坂本に適当にうなずいて時間をやり過ごす。

暑いせいもあってか坂本の冷酒を煽るペースが早い。

あのペースで冷酒を飲むのは大人の男といえど後から響くだろう。

まぁ知った事は無い、と河上は河上のペースで飲んでいた。


坂本は急に膝を打ち

「そうじゃぁ!このまえコレをきゃばくらで教えてもらって来た」

と嬉しそうにいいながら手元にあったおしぼりをいじり始めた。

何かまたくだらないことでもするんだろう、と冷めた目で見つめた。

以前、同じようなことを言い出したかと思うと

「おっぱいじゃぁ!!」

といってハンカチで作られた幼児のリボン遊びのようなものを見せられた事がある。

どうせ今回もそんなくだらない事だろう。


2分ほどして

「ほれ!出来た!なかなかのもんじゃろう」

と誇らしげに言われたかと思うとそこにはおしぼりで作られた陰茎が鎮座していた。

はっきりいって驚いた。非常に良く出来ているのだ。

なんというか、ここまで突き抜けると芸術だな、とかすかにでも思ってしまった自分が憎い。


「どうじゃぁ!なっかなか良い出来映えぜよ。まぁわしのまらはこんな手のひらサイズじゃ収まらんけどもあはははははー」


渾身のドヤ顔と共に笑った時に唾液が頬にとんだ。


「あっ!すまんすまん万斉君!わしが拭ってやるきに、このおしぼりで!どの部分で拭って欲しいがか?先端?それとも根元かぇ?あははははー」


完全な酔っぱらいである。

実際身を乗り出して陰茎に形成されたおしぼりを片手に立ち上がろうとしたが

その瞬間がくん、と坂本の膝がおれた。

案の定飲み過ぎだろう。膝が立たない。それでもおしぼりを近づけようと腕を伸ばす。

その腕を掴んでぐっと引っ張ったところ、あっけなく体勢を崩し、坂本はその場に転がった。 


「あかんあかんて河上君わしゃぁ今日は飲み過ぎてもうた今日は役立たずじゃ勃たないだけに!なんつて」


イラッとした。

いつもさんざん人の気分を踏みにじって嫌と言われればよろこんで攻め立てる。

なんて身勝手な。


勃たぬなら勃たせてみようほととぎす

 

なんだかよくわからない闘争心が生まれ

四足で畳を這い坂本の帯の結び目のを見つめてすすんだ。

目の前に付いたときに視線だけぎろりと上げる。

 

 

「では役立たずのソレが勃ったら拙者の好きなようにしてよいでござるか?」

 

「えっ?」

 

既にだらしない足さばきの両膝をぐっと掴む。

自分の体重をかけてのしかかけて膝を割った。

あっさり足がひらく。

ほらいわんこっちゃない。冷酒は飲みすぎるとこうなのだ。

足が言うことをきかなくなるぐらいガタガタになる。

いつもだったらこのバカ力がっと思う力で押さえつけられるが

逆に押さえつけられた今この状態に対する抵抗力は坂本にはない。

 

いい気味だ。

 

正直にそう思った。今の主導権はこちらにあるのだ。

 

そのまま両膝に置いた手のひらをするすると太ももへ滑らせる。

浴衣の裾もめくり上げて行く。

 

 

 

 

坂本は後ろ手に手をつきながらあーとあきらめるような声をあげて

ぼんやりとした視線を投げた。

自分に主導権がないのが単純に悔しい。いつもだったら逆なのに。

しかし目に映る景色はそんな悔しさも凌駕するいやらしさに満ちた風景だ。

いつもは見向きもしない、攻め立てないと表情を崩さない人物が

己にのしかかって股間に手を進めようとしている。

こんなに興奮するとは。

四つん這い状態の万斉の浴衣の合わせがはだけ中の肌が見えている。

いますぐその肌に手を伸ばして手を這わせたいが体が言うことを聞かない。

 

ううむ、きわめて良い風景じゃ

 

しかしいつもだったこのあたりでカッと熱の集中する股間あたりに熱を感じない。

あー本当今日はだめかもわからん。

この風景しっかり目に焼き付けてますかきのネタにでもしようか

と中坊のようなことをぼんやり考える。

 

むりやり足を開いたので、帯をのこして浴衣は左右の脇へずれてしまった。

下着の右足側から指が差し入れられる。

 

「ちょ、万斉君、そんなところから侵入?」

「人にさんざん好き勝手なことをしておいてそんなところもくそもなかろう。今更何を言うでござる」

 

そういう間も太もも下着の生地の間を指が弄る。

そうやってわざとらしい動きをしながら元気のない己に指が触れた。

さすがにすこしは反応する。

 

そのまま右手は内側から、左手は下着の合わせから取りだされた己に

静かに頭をかがめて口に含まれた。

 

 

 

さすがにこれはわかる。

生温かく湿った感覚とやわらかい粘膜にこすられる快感。

酔っているからなおさらだ。もう自分の感覚はコントロールできない。

さきほど勃たないとゴネたのが恥ずかしいぐらいみるみる立ちあがっていく。

アルコールのせいで体中の血流が脈打つのもわかる。

後ろ手について体を支えている手首の動脈もきっとぷっくり浮きがっている。

そして全身をめぐった神経が体の中心に集まるころ

えも言えぬ快楽が身を包んだ。

 

なぜか自然と閉じてしまっていた目をうっすら開くと

そこにうつった風景は。

 

自分の股の間で身をかがめて丹念にいきり立った棒を舐める男の姿。

口元に抜き差しされる様子を見て、ああ、たしかにしゃぶられていると実感してさらに体が熱くなる。

たまに咥えた状態からゆっくり舐める状態へ変化する時の

唾液が糸を引き口元と亀頭を結び、そして畳の上にねばりと落下する。

 

視覚の威力とはまたすごいものだ。

呼吸が苦しくなり自然と相手の頭を掴む。

 

(フン、勃たぬといったのにこの有様ではないか)


内心万斉はほくそ笑んだ。そしてできるだけいやらしくわざとらしく行為に集中する。

切なげに視線を上げ相手の目を見つめながら涎を垂らす。

そうするとピクリと反応するのがわかりしゃぶりついている欲の塊が一層固くなるのだ。

鼻で呼吸を続けているがたまに「ん」と鼻に抜けるような声もだす。

 

(早くいってしまえこの陰毛頭が)

 

  

少しぐらいわざとらしくいやらしくしたところで

相手はこちらの行いに気持ち良くなってしまってなす術がない。

時折短い吐息を吐きながらこちらを眺めてくる。

辛抱たまらんといった雰囲気だ。

いってしまうのも時間の問題だろう。

 

にやりと口元に笑みを浮かべたまま陰茎をしゃぶり続けた。

 

「ええのぅええぐあいじゃぁ万斉くん

 

じゅぶじゅぶ

 

ズッズッ

 

あえて大きな音を出してしゃぶる。

上顎のざらざらした部分に亀頭をこすりよだれをあふれさせながら

しゃぶる動きを加速させる。

 

「くっぅはぁっもう

 

ぐっ髪の毛を掴まれて一回、二回と押し付けられると同時に

涎とは別の濃度のどろりとした白い液体が放たれた。

 後ろ手に支えていた腕の肘の部分がガクン折れる。

 

さっと懐紙に吐き出す。受け止めきれなかった白い液体が畳にぽたぽた垂れた。

 

その様子を坂本は息も絶え絶え眺めている。時々ぶるりと身震いする。

 

ウェ口の中に出しやがってと手の甲でぐっと拭い

そばにあった冷酒を一口含んで障子の外へペッっと吐き出した。

 

 

 

「いい飲みっぷりかと思うたのになんで吐き出すんじゃもったいない」

 

「あぁ口の中のアルコール消毒でござる」

 

「おんしかわいくないのぅ

 

ゆらりと立ちあがって

 

「今のわし、使いモノになるぜよ!今度は万斉君気持ちよくさせてやるきにね」

 

 ゆらりとのしかかってきた黒い影の右手には

先ほどのおしぼりの造形物がしっかりと握られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

end

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ストックネタに程よいインスピレーションを頂く様な出来事があったのでカッとしてやりました。おしぼりtnk×河上ハァハァ(対万座位の皆様ありがとう)

ものすごいどうでもいいのですが河上は坂本のはごっくんしなさそうだなぁというわけでぺっと吐き出させました。高杉のは飲んじゃいそうだけど。

(2011,7,6)

 

 

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