Request
基本的にこの男の持ってくる案件はうさんくさい。
もじゃもじゃ頭のグラサン男に茶を入れ
で、何の用?とぶしつけに尋ねる。
「いやぁーー!おまんにちくっと人が集まるような企画してほしいんじゃぁ」
「いや、俺こう見えても結構忙しいの」
「おまんにとっても不利な話ではないきに」
とあるスペースでなんかをイベントを開いてくれ、という依頼だった。
なんなんだ、唐突に。すごい漠然とした依頼だ。これはぜったい裏がある。
お前が利益もなしに俺に企画を依頼するワケがねぇ、何隠してる?
と問いただせば…
「あっははははー、やっぱりおんしにはかなわんのぅ!
いや実はな、初めて輸入した洋酒のプロモーションをしたくっての。
公のイベント前にプレで非公式の試飲会したいのじゃが、なんもないのもアレだし、
ほおらぁ、おんしがなんか企画してくれたらその会場で配って宣伝しようかなぁ…と
坂本辰馬!男のお願いじゃぁぁ」
「それ、何度目?」
やっぱりな。この男の依頼にはヒトクセある。
悪びれもしない表情で無理難題を頼まれた事は何度もある。
でも、なぜか憎めない。そんな男だ。
その辺に散らばるサンプルのブラをつまみあげ、
おぉーキワドイのぅとヘラヘラ笑う。
すると突然グラサンの中の目がキラーン!!と輝いて言った
そうじゃぁこれ使ってショーでもしたらどうじゃ?
いや、別にストリップとかじゃなくダンスとかインスタレーションみたいにすればええがじゃ。
という話。
あ、それ乗った。ちょっと面白そう。
胡散臭いと言いつつ面白そうな話には飛び乗ってしまう性質だ。
引き受けてくれたら取引先の一つや二つ紹介するき、という口車にも載せられ
つい引き受けてしまった。
まったくこいつの頼みは断れない。相変わらず甘いなぁと思いつつ
ちょっとした非日常にすこし楽しくなった。
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