Objectivity

 

 

Objectivity

 

 

 

西日の差し込む職員室にて

 

あ、服部先生!てめぇ何読んでるんですか

 

え?じゃんぷよ、ザンプ。

 

ちょ、いつ買って来たのよ。いいよね、担任持ってない先生はいいよねぇ

 

なーにいってんの。月曜日に持ち物検査すりゃぁ1,2冊すぐ回収できるぜ。

ね、坂本先生。

 

そうじゃぁ服部先生はのぉ先週も不意打ち検査してジャンプ手に入れてるんじゃぁ

 

それを言うなら抜き打ちだろ…っておまっ何読んでるの!それぇぇ

 

え、『本当にあった危険な体験…彼女はこうしてしょじょそうしt…』

 

だぁぁ!おまえ何してんのぉぉ!!

 

没収したんぜよ。いやぁ服部先生のいうとおりがや。月曜は大漁じゃぁ

 

 

先生と呼ばれてる人間だってこうである。

職員室の片隅の喫煙ルームで歳の近い先生達の夕方の雑談は続く。

 

 

そぉいや、坂田先生、戻るの遅かったけど補修か何かしてたの?

 

んにゃぁ、補修、というかうん、補修かな。読書感想文か作文かの提出期限守んない奴いてよぉ。

残って書かせたたんだけど…なんつうか、一本取られたカンジ。

 

おるおる。そういう奴はむかーっしからおる。わしも論文苦手じゃったからその子の気持ちは

よぉーくわかるぜよ。

 

坂本先生は理系だからでしょ。で、誰なの?残ってたって子

 

あぁん?えーとな、あいつ、河上。河上万斉。

 

おぉーあのつんつん頭の!いっつもごっついヘッドホンして来てるあの子じゃろー!

 

そう。おまえ、詳しいな。提出してから帰れっていって原稿用紙渡したらさ、

詩じゃだめか、って聞かれてさ。文章で!ってキツくいったらしぶしぶ書き始めて。

書き終えたはいいんだけどちょっと目を離した隙に

俺が確認するまえに下校されちゃって。で、作文のタイトルなんだと思う?

 

そうかぁ河上君は文章が苦手かぁ理系選択すればいいがや。

 

ちょ、坂本センセ、話ずれてますけど。え?何?なんか変なこと書いてたの?

 

や、作文のタイトルがさ「作文の書けない私」だったんだよね…

作文が書けない理由がわかりやすく400字づめの原稿用紙にまとまってた…

 

ぶははははは!!!

 

これは一本取られたのぉ!銀時ィイ。

 

なんだろうね、この敗北感。本当こういう頭の回転の良さが憎たらしいというか、羨ましいというか…

 

 

そういいながら煙草に火を点し、深く吸い込んだ後

煙と共に心からため息を吐き出した。

 

 

 

 

------------

 

どうしても3月9日にあげたくてなんとか間に合った。

っていっても卒業式ネタじゃないけれど。学生の頃を懐かしみつつ。

「作文の書けない僕」というのは実話で、小学校のときにそう書いた同級生がいました。

その当時は目から鱗で、あぁ、人間客観的視点って大事なんだなぁと幼心に思った事を覚えてます。

銀/魂界だったら誰が書きそうかなと想像していたところ万斉にぶちあたりました。

沖田とかも皮肉な事書きそう。山崎は難しく考えすぎて自滅しそうだし。

 

 

 

※ブラウザを閉じてお戻りください