Aroma
解けた帯をどかし
腹の上で坂本が話す。
ここの温泉は湯治にはちくっと弱いかの
なぜか と問えば
肌をぺろりと舐められる。
湯の味があまりせん。でも肌はすべすべじゃぁ
頬擦りされる。
硫黄の匂いも強くないきね、まだ残っちゅう。
何が残っているのだ、と問えば
今度は鼻先でヘソ周りをなぞり始めた。
これぐらいの硫黄じゃ消えないのぉ
万斉くんはいつも動物の革を身につけとるじゃろうぅ
せやから風呂上がりでもかすかに遠くの方で革の匂いがするんじゃぁ。
おんしは鼻が慣れてしもうて気づかないかもしれんがの。
一つ大きく腹の上で深呼吸をし
獣のにおいじゃぁ
まっこと興奮する。
吐息や頬擦りで温まった腹の上にサングラスのフレームがあたり
その冷たさ堅さに体が反応した。
その様子に声を殺して笑っているのが肌の震えを通し わかってしまった。
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