First Contact 3
チッ 山崎も潜入捜査でいねーし、近藤さんはだいたい見当つくけど見あたらねーことには変わりねーし。沖田は論外だ。
ったくなんだって俺がこんな面倒な仕事…
と目の前に提出された調書に目を通し、屯所に連れてこられた人物の詳細を読む。
坂本辰馬:貿易商
拘置所の中で悪びれもせず笑っているグラサン男にうさんくささも感じつつ、
釈放の手続きにつなげる。大した事故じゃねぇ。
しかも墜落先が万事屋ときたものだから、ちょっとザマァミロとも思ってしまう。
がちゃり
拘置室の重い扉をあける。
「おぉー!誰か来てくれたがかぁ?暇でしかたなかったぜよ」
「坂本辰馬、職業貿易商、宇宙船の操縦を誤って歌舞伎町に墜落。
間違いはないか?」
「アッハッハッ べっぴんさんよそんな冷たくせんでくれー。操縦誤ったーというか欠陥品つかまされたぜよ」
瞳はサングラスで見えないが口元はへらへら笑っている。
「どうせ違法に仕入れたもの乗り回してたんだろう?」
「厳しいのぉ。あれは転海屋の蔵場さんから正式に買い付けたんじゃが
どうやらいっぱい食わされたようじゃき。もしかしたら商売敵じゃからわしを消そうとでもしたのかのー
アッハッハッハッハッ!」
「よくそんなのんきなこと言っていられるな」
「おんし、真面目じゃのぅ アッハッハッハッハッ」
「…」
なんかこいつ、イラっとする。
自分の置かれている状況をまるで無視してマイペースだからだろうか。
「とりあえず、飲酒じゃなかったからお前は釈放だ。欠陥品かどうかなら民事の方で訴えてくれ。交通課でなく真選組に連れてこられたのが間違いだ。これ以上の世話は焼けねぇ。おれ達も暇じゃないんでね」
「現場検証も自分でやれ、といいよるのか?」
「あぁ?」
「わしゃぁ船の操縦はお手のもんじゃが車っちゅうものがどーも馴染まんきに」
「歩いていきゃぁいいだろ」
「アッハッハッ このクソ真面目」
ピキ
土方のこめかみに何かが走った
「上等だ!現場検証でもなんでもみっちりしてやるぜ」
売り言葉に買い言葉でまんまとのせられた土方のパトカーの助手席に
坂本が乗り込む。
「しっかしわしはどこに墜落したのかのぅ。さっぱり覚えちょらん」
「てめえは歌舞伎町の「万事屋」に墜落したんだ」
「はて?聞いた事があるようなないような。おんしの知り合いか?」
「知り合いじゃねぇ。知ってるだけだ。大きな違いだぞこれは」
さて、たどり着いた先には崩壊した万事屋はあれど
肝心の宇宙船は見当たらない。
わしの船!火事場泥棒におうたか!?と騒ぐ坂本の背後から
「おまんの船はこちらで回収したきに。得体の知れない輩から物を買うのはやめろ」
編み笠から至極冷静な声が発せられた。
「おおぉぉ!陸奥!よぉー迎えに来てくれた!すまんのぅ、やっぱり地球はええのぉ!
ほらここにべっぴんさんもおる」
「おまんは砂虫にでも股間いじられてろ」
「アッハッハッ ぶっとばすぞクソ女」
そういいながら遠ざかる二人組に
すっかり取り残された土方。
「現場検証ぉぉぉぉぉぉ!!!!」
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一人残された土方。銀ちゃんの記憶喪失の時に坂本が連れて行かれた先が真選組
だったら、という妄想です。
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