First contact 2
どぉわぁぁぁ!!
全蔵は屋根でバランスを崩した拍子に腰の当たりをもじゃもじゃ頭の男ににタックルされていた。
ガラガラガラ!!
瓦の上をすべる。
何だー!なんなんだ!
あ、ヤベに腰あたりに衝撃が加わると…なんか爆発する…
「つーーかまえた!ぜよ!アッハッハッハッハ!」
なんなのこのオッサン!
とか思ってる場合じゃネェェエ!
これ坂本じゃん!今俺が盗聴してた部屋で商談してたじゃんっっっ!
厠に立つって席外したと思ったら、ここ来たのォォォォ!
まて、おちつけ。
全蔵は落ち着こうとふと体から余計な力を抜いた。
その拍子に坂本はタックル状態からひょいっと全蔵を小脇に抱えた。
えぇーー
なにデパートで駄々をこねる子供をむりやり連れて帰るみたいな状態になってんのォ?
「おんし、軽いのぅ!忍とは皆こげな軽さなんか?」
忍なんて技一つで己の体重を操作できる。
実際はちがっても重いと勘違いさせる事もできるのだ。
やや冷静になった全蔵はその技を思い出しすっと意識を統一した。
がくん
予想通り坂本の腰が抜けて抱えていた全蔵ごとその場にどすんと座り込んだ
そうなったらこっちのもんだ
坂本の脇から抜けようと、肩をはずし、
そうしながら口の中に含んでいた虫笛を吹こうと顎を動かしたしたとたん…
うぇっっほ ぐぇっほっっっ
むぐぐぐぐぅっ
咥内に指を突っ込まれ、全蔵は激しく嘔吐いた。
その指を食いちぎる事も忘れびっくりしていると
「舌噛んで自害されてもこまるきに。さぁ盗み聞きする輩にはお仕置きぜよー」
おいおいおいおい
「はっ!あいにく俺は忍びなんでね。そんな武士道もうしあわせちゃいねーよ
それとおまえさんのお仕置きにはつきあえないんでね」
人間の「話す」という行為の中に一瞬の隙をみつけ、
全蔵はするりと腕から抜け出しもう屋根の端。
外した肩をゴリッと入れていた。
「おぉつれないのぅ〜そりゃ残念じゃぁ。今宵は忍者ハットリ君にお酌してもらえると思ったんだがのぅ」
「お、おおまえ何で服部君って…」
「あ?忍者と言えばハットリ君じゃろが」
(なんだよ、びびったぜ)
忍びが去った屋根瓦にジャンプの今週号が一冊。
裏には「服部全蔵」とフルネーム入り。
それを手に坂本はにやり
「ほぉ!ハットリ君もあながち間違いじゃないきに!アッハッハッ!!」
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全蔵は坂本の商談の盗聴依頼の仕事を受けていた、という状況で。
普通屋根の梁(はり)に潜むんだろうけれど、そこはご愛嬌で。ピースメーカーの坂本さんのオマージュを少々。
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